구원

구원은 자각과 분투로 정복하는 자유의 고원이다.

源氏 이야기

桐壺 원문

rouman 2006. 4. 23. 16:42

 

 

桐壺絵

 

 

原文
  いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。はじめより我はと思ひあがり給へる御方々、めざましきものにおとしめそねみ給ふ。同じほど、それより下臈の更衣たちはまして安からず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふつもりにやありけん、いとあつしくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえはばからせ給はず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。
(新編全集一・17頁)


 お馴染みの源氏物語の始まりです。あまりにも有名すぎる文章ですが、ここをあっさり読み流してはいけません。まず、「昔」や「今は昔」といった物語の常套表現で始まっていないことに注意して下さい。源氏物語はむしろ歴史性を重視しているのです。ただし物語の時代は紫式部の活躍した一条朝ではなく、遡って醍醐朝あたりに設定されているようです。その上で、帝の寵愛を一身に受ける桐壺更衣が紹介されています。物語はすぐには主人公光源氏を登場させず、その両親の恋物語から出発させているのです。しかしながら、後宮は秩序を重んじる世界でありますから、後見のない身分低き更衣が帝の寵愛を独占するというのでは、収まりがつきません。どうやら源氏物語は、最初から天皇制と男女の愛情の葛藤を描こうとしているようです。絵は、更衣が馬道の戸を閉められて困っているところでしょうか。更衣が帝に愛されれば愛されるほど、後宮におけるいじめはますます激しさを増します。そして結果的に、帝の寵愛がかえって更衣の寿命を縮めたことになるのです。


原文
 「限りあらむ道にもおくれ先立たじと契らせ給ひけるを。さりともうち棄ててはえ行きやらじ」とのたまはするを、女もいといみじと見奉りて、「限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけりいとかく思ひ給へましかば」と、息も絶えつつ、聞こえまほしげなることはありげなれど、いと苦しげにたゆげなれば、かくながら、ともかくもならむを御覧じはてむと思しめすに、「今日はじむべき祈りども、さるべき人々うけたまはれる、今宵より」と聞こえ急がせば、わりなく思ほしながらまかでさせたまふ。
(新編全集一・23頁)


 源氏物語の最初のクライマックスは、帝と更衣の悲しい別れの場面です。今だったら、愛する人に見取られて死んでいくのが普通でしょうが、天皇制における死は重いけがれですから、宮中で死ぬことは許されません。帝は愛する更衣の死を見取ることはできないのです。「限り」(定め)という語が強調されていることに注意して下さい。子供のようにだだをこねる帝の姿には、しかし更衣に対する強い愛情が表出しています。それに対して無言の更衣は、最後に「いかまほしきは命なりけり」と壮絶な歌を詠じています。これは更衣の唯一の歌であるだけでなく、源氏物語における最初の歌でもあります。帝はそれに答えて歌を返すこともできません。後宮の秩序にあらがって展開された桐壷帝と桐壷更衣の悲恋物語は、こうして更衣の死であっけなく終結するのです。愛は、秩序という巨大な力に敗北したのです。しかし二人の間には、愛の結実として光源氏が誕生していました。必然的に光源氏は、両親の果たし得なかった愛という命題を、生まれながらに背負わされているのです。はたして主人公光源氏は、恋物語の勝利者たりうるのでしょうか。


原文
 大人になり給ひて後は、ありしやうに、御簾の内にも入れ給はず、御遊びのをりをり、琴笛の音に聞こえ通ひ、ほのかなる御声を慰めにて、内裏住みのみ好ましうおぼえ給ふ。五六日さぶらひ給ひて、大殿に二三日など、絶え絶えにまかで給へど、ただ今は、幼き御ほどに、罪なくおぼしなして、いとなみかしづき聞こえ給ふ。御方々の人々、世の中におしなべたらぬを選りととのへすぐりてさぶらはせ給ふ。御心につくべき御遊びをし、おほなおほなおぼしいたつく。
(新編全集一・49頁)


 桐壷巻は、大きく三つに分けられます。桐壷更衣の寵愛から死までを描く桐壷更衣章段、その死の追悼・鎮魂を描く野分章段、そして光源氏の成長・藤壷の登場・葵の上との結婚などを描く光源氏章段の三つです。三つ目の光源氏章段は、源氏の成長に合わせて、次々に事件が展開しています。特に桐壷更衣の形代たる藤壷と、左大臣の娘たる葵の上の登場は、光源氏をめぐる女性関係の複雑さを暗示するものです。帝は高麗人の観相などを参考にして、源氏を臣下に下します。また左大臣の後見を受けるべく、元服と同時に葵の上との政略結婚が行われます。しかし源氏の心は、母の面影を有する藤壷で占められていました。これまでは御簾の中にも入れてもらえたのに、元服後は御簾を隔ててしか対面が許されません。そのためかえって源氏の思慕はつのるばかりです。左大臣の必死の努力にもかかわらず、源氏は葵の上を愛することができないのです。藤壷への思慕が、源氏を内裏に釘付けにしているのです。もともと藤壷は、帝にとって亡き更衣の形代として登場したのですが、そのため源氏にとっても母親の形代となり、いつしか母から理想の女性へと推移する中で、密通事件へと発展していくことになります。

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