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源氏十七歳 |
青年貴公子の源氏は輝く美貌を持ち、世間から光源氏と呼ばれる。母の更衣が住んでいた桐壺を御所での居室にしていた。妻の葵の上(四歳年長)との仲はしっくりせず、通うことも少なく、御所住いが多い。
五月雨の続く一夜、親友であり妻の兄でもある頭中将、そして左馬頭や藤式部丞たちが源氏の居室を訪れた。若者たちの話題は女性談義に及び、三人はそれぞれ興味深い体験談を披露した。―
雨夜の品定め。― 源氏は未知の世界の中流の女性に興味を覚え関心を持つ。
翌日源氏は葵の上の許に退出したが、方角が悪いので方違(かたたが)えにかこつけて中川にある紀伊守の邸に泊ることにした。たまたま紀伊守の父伊予介の若い後妻空蝉が来合わせていた。夜更けて空蝉の寝所に忍び入った源氏は、なかなか意に従おうとしない空蝉をかき口説きかき口説いて、無理矢理に思いを遂げた。 その後も源氏は忘れられず、空蝉の弟小君を手元に仕えさせ、その少年を使いとしてしきりに文を送るが空蝉は頑として返事をしない。数日後源氏が再び紀伊守邸を訪れても、空蝉は女房の部屋に籠って、決して逢おうとはしなかった。―
巻名帚木はこの時源氏が空蝉に送った歌の中の言葉 ― | |